パッションが現場を動かす、品質が未来をつくる。

サントリーコンシェルジュサービス株式会社
CS推進本部 CS2部 部長
名取 伸昭さま
CS推進本部 CS1部 部部長(応対品質担当)
勝間田 さとみさま
実施したサービス:
お客様の健康や人生を応援したい
まず、コンタクトセンターについて教えてください。
勝間田
当社は、セサミンをはじめとする健康食品を展開するサントリーウエルネス社のコンタクトセンターを運営しています。創業の2001年から、商品そのものの価値に加えて、応対品質でご満足いただくことを追求してきました。現在は芝(東京都港区)・福岡・札幌の3拠点体制で、なかでも福岡は管理者を含めて約250名、札幌と芝がそれぞれ100名強の規模です。
石橋
ご一緒し始めた頃は芝の単独拠点で、席数も80前後でした。ここ10年で本当に大きくなられましたね。ご苦労も多かったと思います。
勝間田
そうですね。ただ、拡大の過程でも、“お客様の人生を少しでも明るくする応対”という軸は変えていません。コンタクトセンターの品質が商品価値の一部として評価されていることが社内でも共有され、現場の自信につながっています。単なる電話応対ではなく、お客様の健康や人生を応援する存在でありたい。ファンになっていただける対話を目指しています。
“足し算になりすぎない”――お客様のニーズに合わせた応対を
その想いを形にするうえで、心がけていることは?

勝間田
まず大切なのは、お客様の用件をノーストレスで解決することです。そして、安心してお任せいただくためには、お一人おひとりの背景を理解したうえでの投げかけが欠かせません。ただ、多くのお客様は用件以外を詳しくは語られません。ですから、こちらからの適切な問いかけが必要で、今も最適な声かけのあり方を模索しています。
石橋
つい「良かれ」で足し算に寄りがちですが、シンプルな応対を好まれる方もいらっしゃいますよね。
勝間田
はい。シンプルでも心地よい関係が築けるケースもあれば、対話自体を楽しんでくださる方もいます。満足と付加価値のバランスをどうとるかが大切だと思っています。教育設計でも、インプットを積み上げるだけでなく、現場でアウトプットとして“出せる”状態をゴールに、トレーニングを組み立てています。
エージェントの個性を活かす

石橋
センター運営では、いわゆる“金太郎飴”のように、どこを切っても同じ応対をつくることは比較的容易です。一方で、一人ひとりの人となりを活かした応対を育てるのは、そう簡単ではありません。その点、御社のセンターは、エージェント(オペレーター)の皆さんのお人柄が声に自然と表れていて、本当に素敵だと感じます。
勝間田
そう言っていただけて嬉しいです。そうですね、当センターの特徴は、個のカラーを尊重する点だと思っています。今後、AI応対の活用は進むでしょうが、だからこそ人が応対するシーンでは、“人らしさ”や“個性”が価値になる。そこを大切にしています。
名取
当社のエージェントは「楽しく話したい」「役に立ちたい」というマインドが強く、サントリーウエルネスへの愛着も深いです。立ち上げの芝センターで育まれた自由なコミュニケーションの気風が、札幌・福岡にも広がりました。一方で、会社としてのセオリーやスクリプトはしっかり押さえ、その上でお客様に寄り添って対応する―このバランスを重視しています。
「刺さる」提案が、プロジェクトを動かした
石橋
私たちboosterは、2012年からお仕事をさせていただいているのですが、印象に残っていることはありますか?

名取
たくさんあるので本当に迷いますが(笑)、2012年のSV研修は転機でした。当時はSVになって6年目だったのですが、それまでは応対品質に関して確たる考えがありませんでした。石橋さんの研修で、エージェント育成を体系的にステップアップさせる考え方と方法が腹落ちし、モニタリング・フィードバックで個々の指導ポイントを的確に見立てられるようになった。エージェントが“ぐっと良くなる瞬間”に何度も立ち会い、感動しました。
石橋
昨年から今年にかけては、大規模なプロジェクトでもご一緒しました。採用を決めた一番のポイントは、どんなところでしたか?
勝間田
採用の決め手は、石橋さんからの“率直で核心を突く”ご提案でした。
当時の私は、センター運営の方向性に少し迷いを感じていたんです。そのようななかで、いただいた資料には、運営課題だけでなく、会議体や意思決定のあり方にまで踏み込んだ指摘がありました。まさに「ここを言ってほしかった」と思える内容でした。
石橋さんからは「経営層を交えて、一度ひざを突き合わせてしっかり議論するのはどうですか」とアドバイスをいただき、その提案をもとに集中会議を企画・実施しました。
当日は石橋さんにも同席いただき、約10時間に及ぶ真剣な議論のなかで、“目指すセンター像”と“応対品質の基準”を一つひとつ言語化。結果として、評価基準と現場の実態のズレを是正する方針が固まり、再構築に向けた具体的なステップを決定しました。
“ローラー作戦”で全拠点を巻き込む
石橋
この経営層会議で、スキルカードを使ったエージェント育成のご依頼をいただきました。スキルカードはもともと、現場のエージェントさんに向けた教材ですので、マネジメント中心の会議で採用いただいたのは正直意外でした。
センター規模が大きいため、弊社からは各拠点のトレーナーやSV層に向けたトレーニングを展開し、その後、センター全体にローラー的に展開していくプランをご提案しました。
名取
センターは拡大を続ける中で、コロナ禍も重なり、品質面ではいわば“踊り場”にいました。理想を追うあまり、基礎の徹底が手薄になっていたんです。そこで思い出したのが、2012年にスキルカード研修で得た成功体験でした。「今こそ原点に立ち返るときだ」と確信し、もう一度スキルカードを中心に据えた育成を経営陣に提案したんです。
スキルカードは基本的なスキルを扱う教材ですが、高いレベルを維持しているセンターで、基礎に戻ることへの不安はありませんでしたか。
名取
全くなかったわけではありませんが、私は成功体験があったので迷いはありませんでした。とにかく「スキルカードで現場を動かす」と決めていたので、関係者に説明しながら同時に展開を進めていきました。

勝間田
私は、名取さんの熱意と確信を信じました。当時は「目指すべき応対品質」「評価基準」「KPI」までを策定したものの、そこに至る方策が描けず膠着状態。この停滞をなんとか打破したいと考えており、「いっそお祭りのように全拠点を巻き込みたい」と思っていた矢先でした。スキルカードを軸にした育成なら、全員が同じ方向を向ける“旗印”になると感じたんです。
石橋
全拠点同時の展開は、私たちにとっても大きな挑戦でした。エージェントの皆さんが前向きに取り組めるよう、“楽しめること”を最優先にしたカリキュラムを設計しました。
座学ではなく、「話す・録る(録音する)・聴く・比べる」といった体感型プログラムにこだわりました。
勝間田
研修後のアンケートでは、「録音した自分の声を聞き比べて、成長を実感できた」との声が多く、非常に好評でした。自分の変化を耳で感じられるのは、何よりの励みになりますね。
名取
私自身、2012年の研修が本当に楽しかったので、今回は“研修”ではなく“トレーニング”と呼びました。堅苦しくなく、「学ぶ=楽しい」空気をつくることを大切にしました。
各拠点のトレーナーも、エージェントの成長に手応えを感じ、現場がどんどん活気づいていくのを感じたようです。
声が変わり、空気が変わった
導入から時間が経ちましたが、その後の変化はいかがですか。
名取
今はもう、センター全体の“空気”が違います。何より、声が変わりました。抑揚や表情がより豊かになり、時に厳しいご指摘をいただくお電話でも、心からのお詫びの気持ちを声にのせて伝えることができています。
それはお客様のためであると同時に、エージェント自身の誇りや話しやすさにもつながっています。今でもスキルカードを手元に置いている人が多く、センターのDNAとして根づいていると感じます。
数値的な面ではどのような成果がありましたか。
勝間田
もちろん、結果は数字にも表れています。社内モニタリングのスコアも上昇し、お客様満足度も明確に向上しています。
そして何より、エージェントが活き活きと自信を持って話せる機会が増えたことが、私たちにとって最大の成果だと感じています。
次のステージへ
勝間田
今回の育成では、表現力という“応対の基礎”を中心に磨いてきました。次はその先にある「会話の質」、つまりお客様の本音や真の要望を引き出す対話をより追求したいと思います。
名取
健康食品というのは、続けてこそ“良さ”を感じていただける商品です。だからこそ、お客様の状態や思いを丁寧に伺い、安心や納得を感じていただけるような対話を大切にしています。これからも、一人ひとりの“続ける力”を支える応対を追求していきたいです。
最後に、boosterをひとことで表すと?
名取
やっぱり「パッション」でしょうか。石橋さんは現場を深く理解し、圧倒的な熱量で提案・実践してくれる。その熱が、私たちの情熱を引き上げてくれるんです。
勝間田
本当にそう思います。今後もその“熱量”を期待しています。
石橋
ありがとうございます。皆さまからの言葉を励みに、これからも現場のパッションを成果に変えるお手伝いを続けてまいります。
インタビューを終えて

今回のインタビューでは、名取さま・勝間田さまより、サントリーウエルネスのコンタクトセンターに根づく「お客様の元気を応援する」理念、そして現場の一人ひとりを信じて育てる姿勢をお聞かせいただきました。
スキルカードを軸とした育成の再スタートが、センターの空気を変え、声を変え、成果へとつながったことを改めて実感することができました。
名取さん、勝間田さん、このたびはお忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。
インタビュー実施日:2025年10月20日
サントリーコンシェルジュサービス株式会社 公式サイト
https://www.suntory.co.jp/group/scg/
インタビュア:株式会社booster 古館良子


