一覧へ戻る

モニタリング読本(基礎編)

11. モニタリングシート作成法

モニタリングシートの作成手順を知っていますか?
モニタリングシートの作成は、一見地味で地道な作業ですが、大変重要なため気を抜かずに進めたいものです。ここでは作成の手順とポイントについて考えていきましょう。

(1) 「あるべき理想の応対」を明確にする

センターマネージャーを筆頭にセンターの運営管理に携わる担当者が、理想的な応対、目標(ゴール)、提供するサービスなどを話し合い、応対品質に対する方針を明確にします。その際、「このコミュニケーターの応対を水平展開したい」といったように、理想とする応対が具体的であればあるほど共有は容易になります。良い例となるコールは事前に記録しておくのもよいでしょう。逆に、代表的な悪いコールをあげてみるのも課題が浮かび上がってくるため効果的です。

(2) モニタリングシートのドラフト版を作成する

「あるべき理想の応対」が定まったら、その応対に必要とされる要素を洗い出します。例えば、「親身さや寄り添い」を極めたいセンターの場合は、やはり「温かい話し方」や「傾聴や共感」が大切になるでしょう。一方で、テクニカルセンターなどの場合は迅速な問題解決にむけての的確な「質問」や「説明」が重要項目となるはずです。

現在、使用しているモニタリングシートがある場合、それをベースに改定作業をしているのをよく見受けますが、これまでの基準がかえって的確な判断を迷わせる場合もあるので、一旦はイチから組み立ててみて、その後に現在のシートと照らし合わせて過不足をチェックするほうがスムーズかもしれません。でしょう。

(3)テストモニタリングを実施する

(2)で作成したドラフト版をもとに、ランダムにピックアップしたサンプルでモニタリングをしてみます。サンプルは特殊なものでなく、よくある応対を中心に数本か選んでおくのもよいでしょう。実際に、モニタリング評価をしてみると、机上ではよいと思えた内容でも、実際は採点しづらい、迷うことが多い部分が浮き彫りになります。また、担当者ごとのとらえ方にぶれが出る項目も発見できます。

例えば、あるモニタリングシートには「論理的な説明か」といった項目がありました。この項目において、A担当者は「○○には2つの可能性が考えられます。ひとつめは△△で、ふたつめは✕✕です」といった説明が「論理的」であると解釈し、B担当者は説明ボリュームが豊富さが「論理的」と理解して採点をしていました。もちろん、項目への理解が浅いうちはこのような議論を重ねていくのですが、何度話し合ってもブレるものは、いっそ表現自体を見直すほうがよいでしょう。なぜならば、コミュニケーターは「論理的とはどういうことですか?」と質問してくることは稀で、間違った解釈をしたまま応対をしてしまうリスクがあるからです。

(4) モニタリングシートの改善点を探る

(3)の結果を踏まえて、ドラフト版のモニタリングシートの改善点を探ります。 「あるべき理想の応対」を念頭において、適切に評価できているかどうかを検証します。検証ポイントは以下のとおりです。

【検証ポイント①】
一般的なコールセンターのお客さま応対として必要な要素が入っているか。また、現在の応対における課題をチェックするための項目が入っているか。

【検証ポイント②】
今後、強化していきたい要素が盛り込まれているか。

【検証ポイント③】
使用しなかった項目はないか。ほとんどのサンプルで使用しなかった項目は、不必要である可能性が高く、評価しづらい項目は設定に問題があると認識しても良いでしょう。

【検証ポイント④】
評価しにくかった項目、すり合わせが難しく評価がブレる項目はなかったか。ひとつの項目にふたつ以上の要素が含まれているものはなかったか。

【検証ポイント⑤】
全体の項目数は適切か。項目数は多すぎても少なすぎても使いづらいものになり、15~23つ程度が使いやすいでしょう。また、並び順も最適かどうか確認します。

【検証ポイント⑥】
得点の算出方式は適切でわかりやすいか。項目ごとの重要度によって適切なウエイトがかかっているか。
Yes/No方式、5段階評価、4段階評価など採点方法にはいろいろありますが、最終的に出た総合結果の数値がもっとも感覚値として違和感ないものがよいでしょう。

【検証ポイント⑦】
採点基準書はわかりやすくて整合性があるか。評価項目が定まったら、採点基準書を作成します。各項目において、どのような応対を○とするのか、△とするのかを文書としてまとめます。

【検証ポイント⑧】
使いやすいモニタリングシートか。モニタリングシートはフィードバックで使用することを想定して、使いやすいレイアウトに整えることも重要です。見やすさ、ファイリングのしやすさなどについて使用する担当者の意見を十分に取り入れることが有効です。

(5)モニタリングシートを改訂する

(4)で検証したポイントをもとに、ドラフト版のモニタリングシートを改定します。特に評価項目の順序の検討は見落とされがちなステップですが、適切な順序で項目を並べることでスムーズな採点が可能になり、モニタリング業務の効率化にもつながります。

この後は、施行版として現場にリリースし、実際に活用してみます。一度、すべてのコミュニケーターの応対を評価すると、これまでに見つからなかった不具合などが発見されることもあるため、またそれをブラッシュアップすることでしばらく使える確定版ができあがります。モニタリングシートの作成は、一見地味で地道な作業ですが、大変重要なため気を抜かずに進めたいものです。

『応対品質の向上』の詳細はこちら

一覧へ戻る

お問い合わせ

CONTACT

ご質問やご相談を承ります。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。

電話でのお問い合わせ

03-5432-9217

営業時間 9:30~17:30
(土・日・祝日は除く)

WEBでのお問い合わせ

お問い合わせフォーム