1. コールセンターのモニタリングの現状
コールセンターのモニタリングはどうしていますか?
昨今では、効率面の数値管理一辺倒ではなく、コミュニケーションの質的評価を最重要課題として取り組む企業が増えています。その際、コミュニケーションの品質を把握するのがモニタリングです。ここでは、モニタリングのあるべき姿について考えていきましょう。
(1)顧客対応の最前線としてのコールセンター
コールセンターが顧客対応の最前線として認識されるようになって、単なる問い合わせ対応の窓口から、いかに企業の利益に結びつくプロフィットセンターに移行するかが重要な課題となっています。
最近のコールセンターは、メール・チャット・LINE等に受付メディアを拡張し、最先端システムの導入も盛んです。サービスラインナップやシステムではなく、それらにプラスして顧客視点からの応対品質に追求されるようになってきています。
CRMやCX、マーケティングの分野でも、顧客とのコンタクトポイントであるコールセンターでの品質は、業績結果に大きな影響を与えるという点において着目されています。それにもかかわらず、電話応対のコールクオリティにはまだまだ課題を抱えているという企業も少なくありません。
電話応対の品質を評価するモニタリングについて、当社のマーケティング経験を踏まえて解説します。
(2) 昨今のモニタリングの現状は?
モニタリングとは、コールセンターの管理者が、顧客とコミュニケーターとの通話を聞き、その内容を評価することです。モニタリングの結果は、コールセンター全体の品質管理や、コミュニケーター個々人の評価や指導に活用されます。センター運営には必要不可欠な業務です。
多くのセンターではその重要性を認識しているものの、充分に機能できていないというのが現状です。オペレーション変更やクレーム発生時といった必要に迫られた時にのみ、実施しているコールセンターもあります。
しかし、モニタリングは定期的・継続的な実施にこそ大きな意味があります。また、モニタリングを実施できていないコールセンターが多く存在するのは、「わかっているけれど、なかなかできない」というのが実情であろうと推測されます。
これには、下記のような原因が考えられます。
【原因①】他の業務が忙しくて手が回らない!
モニタリングは、本来は品質管理(QA)担当者が専門に担いたい仕事です。しかし、センター規模によっては、品質や教育面に人材を割くことが難しいこともあり、そのようなセンターでは現場を管理するスーパーバイザー(SV)に任されていることもあります。
スーパーバイザーはオペレーション管理をメイン業務とし、その他にスクリプトやFAQ、商品情報などのツールの整備やコミュニケーターのシフト調整、各種の数値管理など多岐にわたる業務を任されていることが多いのです。そのため、個別のコールを聞きフィードバックをするというモニタリングは、大量の時間を割くために、そこまで手が回らないというケースが少なくありません。
【原因②】モニタリングの仕方がわからない!
これには2つのケースが考えられます。一つは、評価基準が不明確な場合で、これではモニタリングの効果はないに等しいでしょう。もう一つは、モニタリング結果の活用方法がわからないケースがあります。コミュニケーター個々人へのフィードバックの方法や、結果数値の評価の仕方がわからない場合です。
(3)アウトソーサーからのレポート
一般的にオペレーション管理では、応答率を中心として入電数や通話分数、処理件数などの効率面を結果などで評価することが多いのです。しかし、本来はこのような数値だけで管理するものではなく、モニタリングによる品質面もみていくことが必要です。
顧客対応をアウトソーサーへ委託している企業にとっても、モニタリングは重要な意味を持ちます。アウトソーサーからの日々のレポートには、どのくらい品質面がウォッチできる数値が記録されているでしょうか。また、モニタリング結果の報告を受けていたとしてもその内容はふさわしいものになっているでしょうか。
アウトソーサーからのレポートは、年々レベルアップしてはいるものの、顧客応対のクオリティまでは、これらのレポートからでは推し量れないということが言えます。例えば、お客さま満足の視点からの品質に対する評価が必要となります。
こうしたコミュニケーションの質的評価こそが最重要課題であり、それらを把握するのがモニタリングのあるべき姿です。従って、アウトソーサーへ委託している場合でも、適切なモニタリングが実施されているかどうかのチェックをすることをお勧めします。