戦略的なスクリプトを通じて、既存顧客の囲い込みに成功。
カードローン会社さま
- 業界
- 金融・保険
- センター概要
- 個人のお客さまからのカードローンに関しての問い合わせや手続きに対応している。
- 実施サービス
背景・課題
既存顧客の囲い込みを目的として、コールセンターの強化を図りたい。
本事例でご紹介するカードローン会社さまは、多くの競合他社と同様に、無人契約機を中心としてビジネス展開し、コールセンターを設けてお客さまからの問い合わせ・相談対応を行ってきました。
そのようななか、顧客の囲い込みを目的とした研修のご相談をいただきました。背景を伺うと、お客さまはカードローン会社を1社に絞らず、複数社と契約している傾向が多いため、コールセンターの応対品質を向上させてお客さま満足を得ることで、自社への囲い込みを図りたい、とのことでした。
オリエンテーションを受け、弊社の経験から、目的達成には研修だけでは不足だと考えました。いくら感じの良い応対をされても、提供するサービスや上手な利用方法などへの納得性がないと、その会社を指名する決め手にはならないからです。
そこで、お客さまの気持ちに響くトーク(言葉)をスクリプトとしてまとめ、使うタイミングを決めた上で、スクリプトを使いこなす研修を実施することにしました。
そのためには、まず充実したスクリプトを書くことができる担当者の育成が大切となるため、以下をご提案しました。
・お客さまのプロファイリングに基づいたコミュニケーション設計
・スクリプト作成研修
・スクリプト作成のサポート
・電話応対研修
取り組み
【その①】 マーケティングデータの分析からお客さまへのアプローチ方法を探る。
クライアントさまとミーティングを重ねることで、保有する多くのマーケティングデータから、お客さまのタイプごとに特徴を整理しました。
・若年層:お金を借りることへの抵抗感が少ない分、返済も滞りがち
・女性層:カードローン自体に不安意識が強く、世間体を気にして他者に相談等をしない
・男性層:「仕事で多忙を極めている」、「いろんな事情があって・・・」など言い訳しがち
その上で、それぞれのターゲットに合わせた会話づくりを目指すことにしました。
【その②】 「スクリプト作成研修」を通じて担当者を教育。
弊社では、お客さまに伝える話の内容はコミュニケーター任せにするのではなく、可能な限り、スクリプトで標準化することを推奨しています。なぜなら、コールセンターは人材が流動的であること、お客さまごとに都度、精度の高い会話の内容を考えることは難しく、無駄が多いからです。
また、緻密なスクリプトにするためには、社外に任せるのではなく、自社サービスの特徴やセールスポイントを熟知している内部の人間ができる限り作成するべきだと考えています。
そこで、「スクリプト作成研修」では、コールセンターの企画部門に所属するご担当者さまに対し、スクリプトの位置づけや役割、その作成方法やポイントについて徹底的に学習してもらいました。
【その③】 スクリプト作成をサポート。
スクリプトを作成する際は、「いつ、誰に、何を伝えるか」を細かく設定します。今回は、前述のマーケティングデータから導き出した情報をもとに、3つのタイプとコールリーズン(問い合わせ理由)をかけ合わせ、伝える内容を決めていきました。
ひとつひとつのスクリプトに対し、ご担当者さまで考えた素案をもとに議論し、弊社からのアドバイスを加味した修正案を考えてもらい、ブラッシュアップしていくというステップを繰り返すことで、ご担当者さまのスキルを徐々に引き上げていきました。
【その④】 スクリプトを使いこなすための電話応対研修。
弊社では「スクリプトは楽譜」だと捉えています。どんなに優れたスクリプトができたとしても、コミュニケーターにただ渡すだけでは、うまく活用することができません。そこに盛り込まれている内容や意図をしっかりと理解し、その上で、それぞれのシーンに応じた適切な話し方をする必要があります。
不安に感じているかもしれない女性のお客さまには、親身さや温かみのある雰囲気で語りかけることや、ビジネスマンの男性には、誠実な声色で「お忙しい中、わざわざご連絡をいただきまして、ありがとうございます」と伝えるなどの指導をしました。
それらの練習を通じて、スクリプトに命が吹き込まれ、お客さまに届けたい生きたメッセージとなるのです。
成果
顧客心理に寄り添った「スクリプト」で大きな収益獲得を達成。
完成したスクリプトと電話応対のメソッドは、全国に数拠点あるコールセンターにも水平展開されていきました。
一定期間を経て、その後の経過を伺ったところ、今回のスクリプトは目覚ましい成果を達成し、特に、当初目的の既契約者さまの囲い込みに関しては、リピート率が飛躍的に向上したとのご報告を頂けました。
ご担当者さまの声
弊社のコールセンターの運営方針として、One to Oneな応対をモットーに掲げてきました。おひとりお一人のお客さまと向き合うために、手続き関連以外の応対については、スクリプトなどになるべく頼らないようにしてきたこともあり、スクリプト作成のご提案をいただいた当初は、正直少し違うかなと思っていました。
その一方で、お話を伺っているうちに、当初計画していた研修だけでは、お客さまの囲い込みの実現は難しいとも考えました。そこで、思い切ってお任せすることにしたのですが、今ではその判断が正しかったと確信しています。
今回の取り組みを通じ、スクリプトを作成できる担当者の育成をすることもできたことで、今後も継続して進化しつづけられるのではないかと考えています。