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モニタリング読本(実践編)

2.【事例】SVの不安から品質向上に取り組む

モニタリングにより、品質向上という成果を得たA社の事例をご紹介します。品質向上への取り組みのきっかけは、一人のスーパーバイザーの漠然とした不安からでした。

(1) 「理想のコール」に近づくためにモニタリングシート

モニタリングは安易に実施して、良い成果を得られるものではありません。事前の目標設定や準備はもちろんのこと、日々の見直しや軌道修正が欠かせないのです。ここでは、ある高級ブランド会社の事例をもとに、評価基準の修正について解説します。

モニタリングは、「理想のコール」を実現するためのスキル要素を集約したものです。コミュニケーターは、 「理想のコール」に近づくためにモニタリングシート上の評価基準をクリアしようと努めます。評価基準は、モニタリングの効果を決める重要な要素です。

センターのミッションやコールの目的はそれぞれ異なるため、最適な評価基準を設定することは容易なことではありません。まずは、モニタリングにより品質向上という成果を得たA社のケースをもとに、評価基準を設定する際のポイントについて解説しましょう。

(2)【事例】高額商品のコールセンターのケース

A社はアパレルや宝飾品といった高額商品を販売しており、全国的にも商品のクオリティと高級なブランドイメージで高い知名度を誇る企業です。店舗を全国に展開し対面販売を主力としていますが、早くから販売チャネルとしてコールセンターに注目しており自社運営してきました。

最近ではWebサイトにも力を入れ、順調に売り上げを伸ばしています。コールセンターでは、商品や店舗の問い合わせ以外に、Webサイト上の注文受け付けや質問の対応なども行っています。

同コールセンターにはベテランと若手がバランスよく配置されており、大きなクレームやミスといった目に見える大問題はありません。しかし、現場を預かるスーパーバイザー(SV)は「実はお客さまにはご満足をいただくことはできていないのではないか、一部のお客さまはご不満を抱えているのではないか」という漠然とした不安を抱いていました。

なぜなら、深刻な事態につながる案件こそ報告されていなかったものの、時折発生するクレームの詳細状況からこの会社が最も大切にするブランドイメージを損ないかねない対応が行われていたからです。そこでまず、同センターではミステリーコールによる調査を実施し、コールの実態を把握しました。これにより、スーパーバイザーの懸念が的中していたことが明らかになりました。

モニタリングの結果、最も問題とされたのがコミュニケーターのトーン&マナーです。同センターでは、顧客満足をはき違えた非常に馴れ馴れしい声でトークをしているコミュニケーターが多数を占めていました。これは、一部のベテランの話し方が新人に受け継がれたと推測されます。

また、全体を通して表現がやたらとオーバーで、少し高めの裏返ったようなお化粧声がおしつけがましい印象をぬぐえないコミュニケーションがありました。さらに、収益性を目指すあまりに特定商品ばかりをお勧めするコミュニケーターも見られました。

こうした対応は、顧客の「声にならない不満」につながりやすく顧客を失う危険があるばかりか、ブランドイメージに対してボディーブローのようにダメージを与えていました。これらの問題は、モニタリングでコミュニケーターと顧客双方の声を聞かないかぎり顕在化しにくいのです。

そこで、モニタリングを活用して問題点の解決を図りました。まず、モニタリングシートでは、「声」について詳細な記述をしました。同センターでは不定期でモニタリングが実施されており、従来の評価基準は「元気で明るく、聞き取りやすい声」と定義されていました。

そこで、話し方のイメージがつかみやすいように「A社の高級なブランドイメージに合った品のある、落ち着いた声。(やや低めが望ましい)」と修正し、また、商品のお勧めに際しては、お客さまのご要望をつかむためヒアリング項目も追加しました。「お客さまの真のご要望を知るために積極的に質問したか」とし、評価基準書(モニタリング項目の詳細を記述するドキュメント)のNO(できていない)には、「ニーズを把握せず、唐突に特定商品のお勧めをしない」と明確に規定しました。

このように、評価基準を改定しトレーニングを実施したところ、問題点は短期間に改善されモニタリングスコアが劇的に改善されたのです。

(3)顧客の期待値をどのように盛り込むか

A社のケースで注目すべきは、評価基準に「お客さまの期待値」を盛り込んだ点です。電話対応は顧客が相手となるため、評価基準はあくまで顧客視点で設定されるべきであることは既に述べましたが、顧客が期待する応対レベル(=最低限ここまではクリアすべきであると考えるレベル)は、企業によって異なります。

たとえば、A社は全国的に知名度の高いブランドであり、商品価格も高く、広告も高級感をアピールしていました。そのため、顧客は、「あのA社なのだから、当然電話応対のレベルも高いだろう」と無意識のうちに期待しているのです。

これに対して、同じジャンルの商品でも、無名のブランドや廉価商品であれば、たとえA社よりもクオリティの低い対応を受けたとしても、多くの消費者は「こんなものだろう」と感じ、とくに不満を感じていません。なぜなら、企業に対する期待値がさほど高くないからです。

つまり、同じ業種の顧客対応でも、お客さまの期待値によって、顧客満足度が変わってしまいます。したがって、評価基準を設定する際には、自社の顧客の期待値を慎重に見極めなければならないのです。
顧客は、自分の期待するレベルが達成されない時、大なり小なりの失望を感じて応対への評価が低下し、その結果、顧客満足度も比例して低くなります。そのため、自社の顧客が感じる期待値を明確にした上で、レベルアップをはかることが重要であり、評価基準にはそれを反映させることが不可欠であると言えるのです。

(4)現場担当者の声を聞く

次に注目すべきは、現場担当者の意見を尊重したという点です。一般的にスーパーバイザーは、抱える業務量が膨大で多忙を極めるうえに、専門担当者が品質管理を行っているケースもあり、応対品質への課題発見・解決に対する意識が常に働いているとは言えません。

しかしながら、日々のオペレーションに立ち会うスーパーバイザーは、何らかの疑問や課題を感じ取っているものです。A社の場合、顧客が不満を感じているのではないか、という彼らの意見からモニタリングを実施した結果、課題が明確になり品質向上へとつながりました。
このように、たとえ漠然とした意見であっても現場に最も近い立場にあるスーパーバイザーの声を取り入れるのは非常に重要なことであると言えます。

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