モニタリング調査で、「アウトバウンド」の改善の方向性を見極める。
背景・課題
「モニタリング調査」で、アウトバウンドの品質をチェックする。
本事例でご紹介する健康食品会社さまでは、健康食品のお試し商品を購入されたお客さまに対し、その後のご様子のお伺いやお得な商品のご案内をするためのアウトバウンドを、複数のコールセンター運営代行会社(以下、アウトソーサー)に委託していました。
弊社では一次対応をするコールセンターの応対品質調査を長年承っていましたが、それに加え、アウトバウンドも応対品質を定点観測していきたいとのご相談をいただきました。その背景を伺うと、「インバウンドの応対品質については、お客さまに高いご満足がいただけるよう努めてきたが、アウトバウンドも同様であると考え、まずは現状把握から始めたい。その際、業務を複数のアウトソーサーに委託しているため、各社の品質レベルや特徴を知り、今後の品質向上に活かしていきたい。」とのことでした。
応対品質を測る場合、インバウンドセンターには弊社がお客さまを装って電話する「ミステリーコール調査」ができますが、アウトバウントセンターの場合それが不可能なため、「モニタリング調査」を行うことになりました。
取り組み
【その①】 アウトバウンド用のモニタリング指標を策定。
モニタリングをする際の指標は、企業が考える「理想の応対」とお「客さま視点」をかけ合わせてチェック項目を設定します。そのため、新たな調査をスタートさせる際は、まずは評価指標を策定します。このときは、弊社作成の素案をもとに、クライアントご担当者さまと議論を重ね、最終的に約20項目を設定しました。
モニタリング指標は、机上でよいと思った内容でも、実際に評価をしてみると採点しづらい項目や、評価に迷うポイントなどが出てくることがよくあります。そこで、ドラフト版ができた段階で数サンプルの実際の応対をテスト評価し、微調整を行います。このときも、約10サンプルでチェックし最終点検をしました。
【その②】 各社の応対をモニタリングチェックする。
モニタリング調査は、以下のような流れで進めます。
弊社内の評価スタッフ間でのカリブレーション(評価のすり合わせ) → 個々の音声評価 → 評価結果の精査 → 集計分析 → 報告書作成 → 報告会の実施
この時の調査では、各アウトソーサーからあらかじめ定めた条件にしたがって音声を15サンプルずつ提出してもらい、評価しました。弊社が評価作業をする際は、指標に従って採点するだけでなく、以下のような点を抽出しながら評価を進めます。
・評価者が「お客さま感覚」で聞いたときに感じた印象
・説明内容が優れている会話、わかりづらい会話
・その会社(コールセンター)の特徴が伺える会話
・コミュニケーターのその業務への姿勢が伺える会話
・お客さまの反応が特徴的な会話、また会話の途中で変化がみられたポイント 等
報告会では、部門責任者さま、各アウトソーサーを管理する担当者さまが多数参加されました。報告書の全容をお伝えした後、各アウトソーサーの特徴がよく現れているサンプルや良い例、悪い例などの応対音声を視聴しました。報告書では分析結果の数値が並びますが、それらを念頭に実際のお客さまとのやりとりを聞くと、実態をより深く理解することができます。最後に調査結果をもとに、今後の品質向上への取り組みについて意見交換をし、報告会は終了しました。
成果
アウトバウンドの応対品質が明らかに。
モニタリング調査からは、さまざまなことが明らかになりました。なかでも、当初から想定していたとおり、アウトソーサーごとの品質レベルや応対の特徴に大きな差異が認められ、品質向上のためには各社ごとにきめ細かく管理、指導する必要があることを再認識することとなりました。
調査で明らかになったこと
・アウトバウンドはお客さまにニーズがないため、特有の見方が必要なこと
・同一業務を依頼していても、アウトソーサーごとに応対の特徴は異なること
・アウトバウンドはインバウンド以上に、「会話の内容」が重要になること
・会話のキャッチボールや雑談が鍵を握ること 等々
調査では各アウトソーサーごとの傾向についても細かな分析を行ったため、クライアントご担当者さまからは、今後の各社との品質向上にむけた活動に大いに活かせる、とのご感想をいただくことができました。
ご担当者さまの声
今回はすばらしい報告をいただけて、本当に感謝しています。アウトバウンドの初回の調査でしたが、さまざまな角度から、深く掘り下げていただけ、大きな気づきを得ることができました。今後は、この調査結果をもとに、各アウトソーサーさんと一丸となって、品質向上への取り組みを進めていきたいと思っています。