『お客さまの気持ちを察し、寄り添う会話力』を強化にむけて。
スキンケア 通信販売会社 A社さま
- 業界
- 化粧品・美容
- センター概要
- 通信販売で取り扱うスキンケア用品に関するお客さまからの相談やご注文、各種手続きを受付している。
- 実施サービス
背景・課題
弱点スキルの改善にむけて。
私たちは、こちらの企業から長年に渡ってコールセンターの品質管理を目的とした年1回のミステリーコール調査を承っています。その年の調査では、「品質レベルは比較的高いものの、会話を先に進めることに意識が向きすぎているため、もう少しお客さまのお気持ちを汲み取った対応が望ましい」との報告をさせていただきました。
こちらのコールセンターでは、スキンケア商品に関するお客さまからの相談やご注文、各種手続きに対応しています。美容系商品や健康食品の通信販売がそうであるように、この企業も新規顧客からリピーター獲得までの流れが確立しています。初めてのお客さまには、トライアルセットからお試しいただき、本商品の購入、定期契約の申し込みを促すといった流れになっています。
コミュニケーターは、お肌に関するカウンセリングも行います。時には、健康な肌作りにむけて、睡眠や食事、運動に関してなど幅広い助言も必要になります。何気ない会話の中でお客さまにご納得いただける提案に導くためには、十分な知識と高いコミュニケーション力が求められることになります。
こういったスキルに課題があると社内でも認識されたいたこともあり、その解決策として電話応対研修を実施することに至りました。
取り組み
『心のこもったリアクション・会話力研修』 〜お客さまの気持ちを察し、寄り添う力〜
ミステリーコール調査では、センターの強みと弱みを数値で把握することが可能です。この時は、分析結果から強化すべき点を「傾聴」と「共感」に絞り込み、それらの向上を目指すことにしました。
研修を準備するにあたってまず最初に考えるのが、研修タイトルです。その研修に魅力を持たせ、またこれから学ぶことが想起できることにするためです。この時は、クライアント担当者さまと相談し、『心のこもったリアクション・会話力研修 ~お客さまの気持ちを察し、寄り添う力~ 』 と設定し、その後に研修カリキュラム内容の検討を始めました。
「傾聴」と「共感」に関しては、普段の応対を聞く限り、コミュニケーターはその重要性を十分に理解しているものの、技術が伴っていない印象でした。「傾聴」はお客さまのお話や思いを受け止めるためのスキルですが、あいづちが表面的で、心から話を聞いている印象が薄く感じられました。「共感」においては、実行すらしていないケースも散見されました。その要因は、会話を前に進めることにとらわれるあまり、お客さまの話をじっくり聞けていないという仮説を立てました。
6時間の研修カリキュラムは、「様々な応対音声を聴く」「受講生同士でのディスカッション」「声に出して反復する」いった体験学習をメインに構成しました。まず、お客さまの立場にたって、「傾聴」や「共感」がしっかりとできている応対とそうでないものを聴き比べることにより、その重要性を感じてもらいます。その上で、共感のシーンではどういったフレーズがよいのかをディスカッションし、ロールプレイングを実施しました。ロールプレイングでは、さまざまなお客さま像と個別の問い合わせシーンを想定し、練習を繰り返しながら少しずつ難易度をあげることで、頭で理解するだけでなく、体の感覚として取り入れることを目指しました。
成果
お客さまのお話にしっかりと耳を傾け、そこから会話が広げられるように。
「わかる」を「できる」に導くため、体の感覚で覚えるための反復練習を徹底した結果、コミュニケーターはどのようなシーンになったら、「傾聴」と「共感」のスキルを使うのかといったタイミングや、少しオーバーなようでもしっかりと意思表示をした方が良いことなどをしっかりと身につけることができました。
その翌年のミステリーコール調査では、課題としていた会話を急ぐ傾向が解消され、具体的な強化項目であった「傾聴」と「共感」においては、他の項目よりも一段階高い水準で実行できているという嬉しい結果となりました。もちろん、研修だけで数値があがるはずもなく、その後の現場でのスーパーバイザーによる手厚いフォローやツールの充実など、きめ細かい対策があっての成果であることは間違いありません。
何よりもよかった点は、コミュニケーターの仕事への満足度が高まったことです。あるコミュニケーターは、「お客さまのお話をしっかりとお聴きし、うかがった内容を取り入れながら会話をすることで、お客さまに喜ばれることが多くなりました。これからも、一期一会を大切にがんばります。」と話してくれました。
品質が向上することは、お客さまも嬉しい、担当者も嬉しい、会社も嬉しい、といった大きな効果を生み出しますが、そのことが感じられた取り組みでした。
ご担当者さまの声
研修では、反復練習をするなかで、コミュニケーターの表情が「できるかも! 現場でやってみたい!」と移り変わっていくのが印象的でした。これまでも、センター内では丁寧な教育を進めてきましたが、概念理解に比重を置きすぎていたのかもしれません。
今回の研修を通じて、改めて「できる」まで導くのが、センターの運営側の仕事なのだとも気づかされました。また、研修後に石橋先生にお残りいただき、スーパーバイザー層にむけて、ミステリーコールの結果などをお話いただけた時間も大変有意義でした。
引き続き、さらなる品質向上にむけてのアドバイスを期待しています。