提案型コールセンターに向けて、ミステリーコールで現状把握を。
背景・課題
質問に回答する「受ける」コールセンターからの成長を目指して
精密機械メーカーA社様はコンピューター関連精密機器の大手であり、コールセンターでは、従来から商品に関する幅広いお問合せに対応してきました。具体的には、商品内容についての質問、機種選定、トラブル対応などです。
コールセンターのスタッフは、全員、専門性が高く商品および周辺知識に精通しており、勤続年数も長いベテランばかりです。質問内容を理解し、詳細に案内するという点ではすばらしいスキルを持っています。
今後、センターの成長戦略では、「受ける」の応対から進化し、こちらから「提案」し、将来の売り上げへの貢献を目指すとのことでした。たとえば、従来は、導入予定の機種について相談を受けてもそのまま回答して終わりになることが多かったのですが、今後はそれにプラスして積極的にお勧めの機種や買い方について働きかける、といったイメージです。
そのため、「提案」に関する視点も含めて、まずは現在のセンターの品質を客観的に把握したいとのご要望でした。
取り組み
ミステリーコールで品質レベルとその詳細を探る
現状の応対品質を様々な角度から見極めるため、その手段としてミステリーコール調査を採用しました。弊社がお客さまを装ってコールセンターに電話をして、その応対を確認する方法です。
コールセンターでは多岐にわたる問合せに対応しているため、代表的な問い合わせ内容をいくつかピックアップし、応対の品質を評価することになりました。その際、「提案」する姿勢や実際の提案力を見るため、新規導入や買い替えにつながる内容を含んだシナリオを10種類ほど作成しました。その上で、コールセンターにはなるべくミステリーコールとわからないよう、約1ヶ月をかけて少しずつ電話をして録音をしました。
録音終了後、1本1本の音声を個別評価し、最終的には集計分析や説明内容の文字起こしなどをして、レポートとしてまとめた上でご報告をしました。
成果
客観的な視点による現状把握は意義深く、新たな気づきも得られる
今回の品質調査では、同じような精密機器を扱う業種のなかでは応対品質レベルは高い水準にあることが確認されました。ただ、営業貢献といった視点においては、お客さまと積極的に向き合う姿勢や、その後につながる働きかけを行う点で、やや消極的であることがわかったのです。
実は、A社様には、数年前に、同様の品質評価のご依頼をいただいたことがあったのですが、第三者による品質評価などはしばらく行っていなかったとのことでした。そのことが影響してか、以前は強みであった部分が現在は影を潜め普通レベルまで下がってしまった部分も明確になりました。また、ベテランが多く、品質は安定しているものの、「提案」するセンターを目指す意識が必ずしも浸透していなかったことがわかりました。
そこで、弊社からは品質調査のご報告とともに、他社事例をご紹介しながら今後の改善策についても提言をさせていただきました。
ご担当者さまの声
ご報告いただいた内容で、薄々不安に思っていたことが明確になり、今後の改善策を検討するうえで非常に参考になりました。また、報告内容を早速事業本部内に共有したところ、 今後に活用できる非常に有意義な報告である、との反応がありました。
コールセンター運営という点においては、ここしばらくはコロナ感染対策などもあり、以前よりも応対品質と向き合う機会が減っていたことは確かです。経験も長く信頼できるベテランの担当者に頼り切っていた状態が続いていましたが、やはり振り返りの機会がないと品質を維持するのが難しいことを改めて気づかされました。