アウトバウンドで契約獲得率の大幅アップを実現させる。
背景・課題
大規模アウトバウンドで、申込獲得率と応対品質のどちらも追求したい。
本事例でご紹介するクレジットカード会社さまの対象業務は、レギュラーカードの会員に対して、ゴールドカードへの切り替え提案をするというアウトバウンドで、全国4ヶ所のコールセンターで相当数の顧客に対し一斉にスタートさせるというものでした。
ご連絡をくださったご担当者さまは、4ヶ所のコールセンターを統括する本社コールセンターに所属し、本施策全体をマネジメントされるとのことでした。
具体的な相談事項としては、既契約者さまに対するアウトバウンドにおける、「お客さま満足度を損なわずに、申込獲得率の最大化が図れるスクリプト設計」をしてもらえないかということでした。
取り組み
【その①】 「立ち上げフェーズ」での、オペレーションツールの作成。
まず、全体を「立ち上げフェーズ」、「改善フェーズ」とに分けて、コンサルティングを開始しました。コールスタート前の「立ち上げフェーズ」ではオペレーションツールと見本音声の作成に重点をおきました。オペレーションツールとは、スクリプトやFAQ、切り返しトーク集などのコミュニケーターが会話をする際に使用する資料をさします。
弊社では、アウトバウンド施策において、一番最初に「コール基本設計書」を作成します。ターゲット/ターゲットの生活スタイルや傾向/クレジットカードに対するニーズ/訴求ポイント/ゴールドカードをお勧めした際に断られる理由(仮説)などの要素を整理し、アウトバウンド全体の方針を固めます。
その際、クライアントが保有していたマーケティングデータから、ターゲットによってクレジットカードやゴールドカードへのニーズがお客様ごとにかなり異なることがわかっていました。
それらの情報をもとに、海外旅行をする人/ゴルフ愛好者/主婦層/若年層などターゲットを細分化し、ターゲットごとの「コール基本設計書」に基づいたスクリプトを作成しました。また、アウトバウンドはそのほとんどが一度は断られるため、その理由に対する切り返しトーク集にも力を注ぎました。
作成した数々のツールの中でも、現地のスーパーバイザーから評判が良かったのは見本音声でした。コミュニケーターに繰り返し聞かせることで、スクリプトの内容をスムーズにインプットすることが可能になるとのことでした。
また、契約が取れなかった場合でも感じよく会話を終えることで、お客さまに悪い印象を残さない「余韻の残るクロージング」も、見本音声を通じて定着させることができました。
【その②】 「改善フェーズ」では、モニタリングを中心に日々、ブラッシュアップ。
モニタリングをしました。
4拠点のコールをランダムに抽出し、スクリプトの使用状況を細かく確認しました。話しづらい箇所やお客さまの反応が悪い部分を発見してはオペレーションツールを見直し、都度現場に差し替え指示を出すことでブラッシュアップしていきました。
応対品質の観点からも同様に、課題のある応対が発見されるたび、即座に現地のスーパーバイザーと連携を取りながら、個々のコミュニケーターの指導にあたりました。
成果
申込獲得率の大幅アップを実現。
アウトバウンドのオペレーション現場では、申込獲得率などを気にするあまり、応対品質がおろそかになりがちです。仮にお客さまに対して不満足な思いをさせてしまった場合でも、お客様から指摘されることが少ないため、ロイヤリティを傷つけてしまっていることに気づきにくいものです。
弊社の各種の調査では、お客さまに不満足な思いをさせてしまうようなコミュニケーターは、実績もあがりにくく、応対品質とセールス実績には明快な相関性があるとみています。そのため、アウトバウンドでも品質面を強化することは有効であり、必須なのです。
本事例では、クライアントご担当者さまより以下の点で成果があったとご評価をいただきました。
・アウトバウント業務が体系化できた
・申込獲得率が前回よりも大幅にアップした
・応対品質も安定していた
・アウトバウンドの教育資材ができ、今後も活用できる
・現場のスーパーバイザーの育成にもつながった
ご担当者さまの声
タイトな業務であるにも関わらず快く引き受けてくださったことに感謝しています。また、これまでは拠点が分かれていることを理由に、それらをマネジメントすることは不可能だと考え、獲得率などの結果を競わせることしかしてきませんでした。
今回の施策を通じて、今後のアウトバウント活動の基盤ができたように思います。また、次年度もアウトバウンドをする予定なので、今回の活動をさらに進化させていきたいと考えています。