スーパーバイザーのレベルアップを通じて、応対品質の向上を実現。

背景・課題
多拠点コールセンターにおける品質の均一化の難しさ。
クラブツーリズムさまは、従来からある店舗営業型の旅行業とは異なり、新聞広告や会員情報誌で旅行商品を提供し、電話やインターネットで申し込みを受け付けるダイレクトマーケティングを主力とする会社です。主に中高年向けの国内外ツアーを主催しており、会員情報誌「旅の友」の配布によるメディア販売を中心としています。
コールセンターは、お客さまからの問い合わせや申し込み、キャンセルなどに対応し、時には、旅行探しにお困りのお客さまに対して、情報提供や旅行のプランづくりのお手伝いもしています。センター規模は大きく、全国に10ヶ所以上の拠点を持ち、年間に500万件以上もの問い合わせに対応しています。
その当時抱えていた重点課題は、センター全体のマネジメントが多拠点数であるため難しいことと、効率重視から脱却し応対の品質を向上させることへの取り組みが遅れていることで、それらへの対応が急務でした。
取り組み
ミステリーコールによる業界動向の把握を。
課題を解決するにあたり、まず着目したのは、各拠点の責任者やスーパーバイザーの会社へのロイヤリティの高さでした。旅の楽しみをお客さまに知っていただき、再びご利用してもらえることに喜びを感じながら仕事をしていくなかで、誰よりもお客さまをよく理解していることが印象的でした。
熱いハートを持っていることは大きな強みですが、一方で、これまで特にコールセンター管理者としての教育を受けてこないまま、各担当者が試行錯誤を繰り返しながらセンター運営を続けてきたのが実情でした。
改善にむけてアクションプランを検討するにあたり、まずはミステリーコールを行い、応対品質レベルの把握と傾向を掴むことにしました。調査対象は自社コールセンターに加え、同業他社にも実施しました。調査の結果からは、当初から課題に挙げられていた効率偏重の傾向が想像以上に強いことがわかり、早急にコミュニケーター向けの研修を行うことになりました。
スーパーバイザーをトレーナー化を目指す。
研修を進めるにあたり、理想としては、多拠点に対し同一の研修をコミュニケーター全員に施すことがよいのですが、実際には規模や距離の問題などから難しいため、なるべく拠点間の差が出ない方法が必要になります。
そこで、各拠点にいるスーパーバイザーをトレーナー化することにしました。これまでオペレーション管理を中心に行ってきたスーパーバイザーには、人材育成の基本的な知識が無いため、数年に渡って、年に2~3回のペースで、本社に集ってもらい、継続的な研修を実施しました。
スーパーバイザー研修で特に注力したのは、「自分が応対品質をあげることができた!」、「コミュニケーターを育てることができた!」という成功体験を持ってもらうことでした。その達成感と自信があれば、その後の取り組みも着実に推進できると確信していました。
成果
品質向上を通じて、収益への貢献も。
それらの一連の取り組みの成果は、様々なところに表れました。まずは、応対品質が着実に向上し、それまでの効率的に問い合わせを“処理” するような応対から、お客さまへの感謝や気遣いが感じられるやりとりへと変化をしていきました。さらに、応対品質の向上が収益へ貢献できていることが確認できたことは、最大の喜びでした。現在では、それらの活動が進化をとげ、品質のみならず、効率/品質/収益性の3本柱の強化施策が年間を通じて推進されているそうです。
ご担当者さまの声

クラブツーリズム株式会社 庄司志乃さま
品質向上に向けての取り組みは以前より実施をしていましたが、市場通信さんに最初にご相談した際「電話応対コンクールなどの施策の方向性はよいものの、品質向上の企画側とスーパーバイザーの理解や意識にギャップが生じているのではないか」とのご指摘をいただきました。
各拠点のスーパーバイザー向けの研修を通じて、現場では「少し意識するだけで応対って変わるんだ!」という成功体験が早い段階から生まれました。また、地道な活動を続けることにより、現在では応対品質の重要性や目指すべき目標を会社全体で共有するに至っています。
日頃の打ち合わせでは、いつも私どもの案に「いいですね~!では、プラスして、ここをこうするのはどうですか?」と賛同をもらいながら、的確なアドバイスを頂けるので、ワクワクしながら具体的なアイデアを検討することができています。これからもまた一緒に成長の階段を登ることを楽しみにしています。