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10.徹底分析で効果的切り口を発見し獲得率を向上

ケーススタディ:ゴールドカードへのアップグレードキャンペーン

スクリプトの改定は実績に大きく影響します。その事例を説明しましょう。あるクレジットカードプロモーションの事例では、獲得系アウトバウンドにおいて、レギュラーカード会員に対しゴールドカードへのアップグレードキャンペーンを実施しました。

自社サービスのメリットや競合他社との比較などを分析してスクリプトを作成し、クライアントサイドの方針でゴールドカードの持つ「ステータス感」をアピールしたオペレーションを実践していました。しかし、事前に期待されたほど高い効果を上げることは難しく、厳しい状況が続いていました。

このため、コミュニケーターのトーク内容とスクリプトを比較し、「話しにくいトークはないか」「理解されにくい箇所はどこか」「メリットが感じられやすいトークはどこか」を徹底的に分析したのです。数カ月に及ぶチェックの結果、カードに付帯している海外旅行保険を切り口としたトークに著しい効果があることがわかり、海外旅行保険の切り口をメインとしたトークに切り替えました。

また、具体的にどの言葉(=トーク)が最も効果が高いのかを検討し、現場のスクリプトに反映させた結果、非常に高い獲得率を記録しました。その後、メインスクリプトのトークの修正を繰り返し、切り返しトークなどのコンサルティングツールを整えたところ、その後数年間に及んで高い獲得率を記録し続けたのです。

さらに、DMといった他の媒体でも海外旅行を切り口としたプロモーションを行い、長期間にわたって高い効果を得ました。このように、常にブラッシュアップする努力を継続することにより、精度の高いスクリプトが生まれるものです。加えてオペレーションチェックを行う際は、ツール自体が適切かどうかだけではなく、その使い方についても検証する必要があります。

このクレジットカードプロモーションのケースでは、獲得率の向上のために徹底的なチェックを行った結果、獲得率の高いコミュニケーターのトークスピードが比較的ゆっくりであることが判明したため、「模範スピード」のトークテープを作成し、ロールプレイングを実施しています。

トークスピードは明確な基準設定が難しく、口頭での指導が浸透しづらいため、こうした「体験型」の指導が効力を発揮します。一方、現場では、オペレーションを中断してのツール差し替えも数回に及んだため、コミュニケーターによっては自分で古い資料にマーキングやコメントを書き入れている人もいたが、古い資料の回収を徹底し現場の混乱を避けるなど、スタート時にも注意を払いました。

スクリプトの改訂は言葉遣いなど細かな箇所にまで及ぶため、一見すると古いバージョンとの違いがわからなくなるケースさえあります。とくに、細分化したターゲット別のトークがある場合は、同バージョンで複数バリエーションが存在することも珍しくありません。

管理者は、スクリプトのバージョンの新旧、改訂ポイント、ターゲット(商品)などをデータで管理しましょう。改訂作業は旧バージョンとの比較が必須であるため、こうした管理は効果検証を行う際にもかなり効果的なアクションです。

最後にスクリプトが現場だけではなく、センター全体の運営に与える効用について述べておきます。高度化したオペレーションでは、コミュニケーターに要求するスキルレベルも一様ではありません。

このため、スクリプト作成と共に、コミュニケーターのスキル要件を整理し、センター全体の教育計画と連携することも重要でしょう。例えば、オペレーション計画と照合した結果、特定のコールを行うレベルのコミュニケーターに過不足があった場合、前項のスクリプトのバージョン管理を利用して教育計画を立案・修正することができます。また一方で、マーケティングプランを正確に反映すべきものとなるのです。

マーケティングプランとスクリプト、教育計画の連携手順は以下のようになります。

1)マーケティングプランに沿って使用するスクリプトを整理する
2)コールごとの要求スキルを洗い出す
3)コールの難易度を整理し、レイティングする(=スクリプトベース)
4)要求スキルの達成度に沿ったキャリアパスを設計する
5)各段階で教育プランを策定する

とくに重要なのは、要求スキルの洗い出しと達成度のチェックです。要求スキルの洗い出しについては、例えば、見込み客からの問い合わせ対応には正確な商品知識と基本的なトークスキルが要求スキルの中心となります。

獲得型アウトバウンドでは、それらに加えて顧客の状態に合わせた提案ができるコンサルティング能力や、継続営業につなげるクロージングスキルも必要でしょう。達成度をチェックするには、モニタリングシートの活用が有効です。モニタリングシート上に、洗い出した要求スキルに対応する項目を設け、コミュニケーターがどのレベルにあるかを把握します。こうしたモニタリングは、定期的に行うことが前提になります。

さらに、モニタリングの評価項目に連動した基準を設けてキャリアパスを設計・連動すれば、全コミュニケーターのスキルレベル分布、従事可能なオペレーション(スクリプトベース)を完全に把握できます。従来、マーケティング施策とオペレーションは乖離しているケースが多く、スクリプトは単なるトーク台本と見なされがちでした。

最近では、スクリプトを工夫することでオペレーション目標の達成が必要なことは知られてきましたが、体系立った作成や管理についてはまだ広く浸透しているとは言えません。

しかし、スクリプトは、使い方次第でマネジメントレベルへの貢献度が非常に高いツールになりうるのです。実践的にスクリプトを活用すれば、センター運営全般にわたって効果を発揮します。

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