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16.ミステリーコールの有効性と効果

(1)ミステリーコールとモニタリングの違い

ここで、ミステリーコールとモニタリングの違いを整理してみると、まず、実施方法が異なります。ミステリーコールの場合、調査員が顧客を装って対象となるセンターにコールしその内容を評価するのに対して、モニタリングでは、コミュニケーターと実際の顧客との会話を評価します。

ミステリーコールでは調査する側で事前に会話の流れ(シナリオ)を決めることができますが、モニタリングでは顧客のニーズによって会話の流れが変わります。また、当然ながら、一般に公開されている番号であれば競合他社に対してもミステリーコールは実施可能ですが、モニタリングは自社のコールサンプルのみが対象となります。

そのため、それぞれ異なるメリットがあり、センターの状態や抱える課題によって適切な手法を選択することが望ましいのです。

(2)ミステリーコールのメリット

ミステリーコールのメリットとしては、1)自社と競合他社との比較ができる、2)知りたいポイントにフォーカスして調査が可能、3)今後の参考となる情報を外部から得ることができる、などが挙げられます。

ミステリーコールを実施するコールセンターの多くが重視するのが1)であり、業界全体のレベルを正確に把握し、その中で自社センターがどの程度に位置するかはマネジャーが関心を寄せるポイントです。また、調査結果からは、自社の長所や弱点が明らかになるため、競合対策を検討する上で非常に参考になります。

たとえば、業界全体の水準が高く、自社のレベルが低いのであれば、自社センターの弱点を一つずつ克服し、業界水準に近づける必要があり、自社の品質が業界平均とほぼ同等であれば、他社と異なる特色を打ち出すことを目指すという戦略を検討できます。

2)については、実際の顧客からの電話の場合、会話の内容は基本的に顧客が決定するため、知りたい内容について触れられない場合もありますが、ミステリーコールでは会話のコントロールが可能です。(3)については、他社が使用している効果的な言葉や、会話の流れ、質問への答え方、全体的なトーン&マナーなどの情報を得られます。

もちろん、ブランドイメージや商品の違いなどがあるため、他社の手法や内容をそのまま取り入れることはできませんが、他社の事例のどこが良くてどこが悪いのかを分析した上で、自社の応対の参考にすることができます。

以上のことから、ミステリーコールは、コールセンターの新規立ち上げやテコ入れなどのために他社と応対品質の差別化をしたい場合や、日々の運営を続ける中で、特定の課題を抱えており、他社の状況や応対方法を知りたい場合などに適していると言えます。

さらに、自社センターの品質管理の一貫として、業界他社との比較として定期的なミステリーコールを取り入れているセンターも多くなってきました。

(3)モニタリングのメリット

それでは、ミステリーコールと比較した場合、モニタリングのメリットとは何か。モニタリングは、自社のコミュニケーターと実際の顧客の会話を評価する手法です。したがって、個々のコミュニケーターの応対レベルや課題を把握することができる、という点が最大のメリットがあります。

ミステリーコールと異なり、センターの現状に即した詳細な評価項目の設定が可能であり、より多くのサンプル調査がしやすい。その結果、コミュニケーターが個別に抱える問題点や今後強化すべきスキル、オペレーションツールやコミュニケーターのモチベーションなど、センターが抱える課題を幅広い分野にわたって把握することができます。

また、調査員によるダミーコールではなく、実際の顧客のコールがサンプルとなっているため、会話内容自体から得られる知見も大きい。たとえば、問合せの傾向(問合せの多い曜日や時間帯)や問合せ内容(どのような内容が多いか、どのような聞き方が多いか)などである。こうした情報は、その後のオペレーション計画を立案する上で大いに参考になるはずです。

さらに、顧客の反応から、スクリプトやツールの評価をすることも可能であるほか、キラートーク(顧客の心に響くトーク)など共有すべき情報を拾うこともでき、ミステリーコールと比較すると、より現場のオペレーションに直結した知見を得られると言えます。

したがって、モニタリングは、ミステリーコールと異なり、自社のセンターの抱える課題を詳細に把握したい場合や、各コミュニケーターのパフォーマンスレベルを把握したい場合、さらに、自社センターへの問合せ内容などを把握したい時には、より適していると言っても良いでしょう。


(4)競合以外へのミステリーコール

ミステリーコールのメリットとして競合他社との比較を挙げましたが、実は、必ずしも直接の競合でなくても効果的な調査を実施することは十分価値があることです。最近では、サービスの差別化(クローズドセンター化による限定感の醸成)とコール数のコントロールという視点から、既顧客向けのコールセンターでは電話番号を対象者のみに告知したり、通話開始時に顧客IDなどによって顧客であることを確認しています。そんな情報提供をするコールセンターが調査対象であれば、一定量のコールサンプル収集が困難であり、調査自体も難しいのです。

そのような場合には、商品やサービス自体は同一でなくても、「理想のコール」のイメージやコール目的が自社と似ているセンターを調査対象に設定するのも一つの方法で、応対レベルやトーン&マナーなど参考にできる部分も多々あります。

たとえば、高額商品の取り扱いを中心としていたある金融機関のセンターの場合、取り扱う内容が多岐にわたっており、全く同じサービスを提供する企業がなかったため、A.金融機関のコールセンター、B.都心にある高級ホテル、C.高級会員制クレジットカードの3種類のセンターそれぞれ数社を対象にミステリーコールを実施あいたことがあります。

この際、Aでは金融のプロフェッショナルとしての対応および説明スキルを、BとCでは高級感とホスピタリティを調査のポイントとしています。その結果、Aの調査結果からは金融商品をお勧めする際の話の流れやヒアリング方法などが、BとCの調査結果からは高額商品を扱う場合のトーン(声)などの課題が明らかになりました。

(5)複数のアクションに対するミステリーコール

ミステリーコールの基本的な流れを説明してきましたが、センターの機能は高度化する傾向にあり、1コールのみでケースクローズしない場合もあります。センター側は顧客と何回かやりとりをしながら、応対を繰り返し行っている場合です。

たとえば、商品を購入する場合には、1)資料請求→2)カタログ発送→3)商品購入の申し込み→4)商品発送 となり、場合によっては、商品発送後に問合せを受けることもあります。また、一口に問合せと言っても、複雑な内容であれば、1)一次受付(電話)→(2)折り返し となります。

このようなケースでは、一連のプロセスの中の一部だけを調査することも可能ですが、マーケティング的な視点で評価をしたい場合には、プロセス全体を調査することが望ましいのです。プロセス全体を対象とする場合にも、それぞれのアクションを調査すれば良いだけで、調査方法は通常のミステリーコールと基本的には変わらないのです。ただし、注意しなければならないことが二点あります。

まず一点目は、コールの目的によって評価基準を分けること。たとえば、資料請求の受付と商品説明のコールでは、必要となるスキルは全く異なるので、同一の基準で評価するのは適切でないためです。

次に、それぞれのアクションのインターバルを評価対象とすること。複数のアクションが同一のプロセスを形成する場合、タイムラグが長すぎるとそれだけで顧客満足の低下につながりやすく、各々のアクションの応対内容のみを評価するだけでは不十分です。

また、こうした一連のプロセスにおいては、電話以外のメディアも使われるケースがあります。カタログ発送などは、郵送や宅配便である場合が圧倒的に多く、商品内容やターゲットによってはセンターからの連絡方法としてEメールのみに限定している場合もあります。先進的なセンターの中にはチャットによる応対を行っているケースも出始めています。

こうした場合、それぞれのメディア特性に合わせた調査の実施が必須となるでしょう。もはや「ミステリーコール」と言えない範疇ではありますが、コンタクトポイント多様化の流れと連動し、今後はミステリーコールのマルチ化も進むと思われます。

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