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11.モニタリング・フィードバック研修の効果と効用

モニタリング・フィードバック研修の目的は、第一義的にはモニタリングスキルを持った人材の育成ですが、それによってもたらされる効果は広範囲に及びます。まず、一点目として、自社内に品質管理担当者を確保することです。自立的な品質管理が可能になり、モニタリングのタイミングや頻度、実施規模などを自由にコントロールすることができるようになります。

定期的なレギュラーモニタリングの他に、オペレーションの状況に応じ臨機応変にチェックすることも可能になるため、センターの状況に合わせてモニタリングを実施することができます。次に、担当者が品質管理に関する高い意識とスキルを習得することで、モニタリングチェックなどの定期的な活動のみならず、日常業務の中でも積極的に品質管理がなされると期待できます。

たとえば、単にチェックをするだけでなく、現場でコミュニケーターの実際のトークを聞きつつ、声かけをおこなったりするというように、コミュニケーター自身の意識も自然と高まり、あるべきコール実現に向けて各自が努力する理想的なサイクルを作り出し、その結果、現場も含めたセンター全体が品質に関して高い意識を共有できるようになります。

最後に、自社内のマンパワーの有効活用により、品質管理コストの抑制につながる場合があります。ただし、品質管理担当者を新規に設置する場合や、SVの職責に品質管理を加えることでSVの補充をしなければならない場合などは新たな人件費が発生する可能性があり、新しい人材の補充によってセーブできるコスト(外注コストなど)や現在の人員と職務内容を慎重に勘案し、なるべくムダのない形にすることが肝要です。

ここまで、品質管理担当者の育成という視点で論じてきました。しかしながら、実際には、モニタリングは専門の担当者でなくても、現場の管理者(SV)レベルには身に付けておきたいスキルです。なぜならば、モニタリングはコールの品質の判断基準であり、日々のオペレーション現場でも、同一の基準によりコミュニケーターを指導すべきであるからです。

事例:損害保険会社A社の場合

ここで、過去に実施した「モニタリング・フィードバック」研修のケースを紹介しましょう。A社のコールセンターでは、既契約向けのアウトバウンドを実施していました。センターは立ち上げから一定期間が経過しており、モニタリングの重要性は認識しつつも、本格導入には至っていない状況であったのです。

また、SVが全員社員であり、社内の他の部署からジョブローテーションとして配属されるため、着任前はコールセンター業務の経験が全くない状態でした。そのため、社内でモニタリングシートを作成はしているが、目指すべき「理想のコール」との整合性や現場の問題点やスキルレベルとのマッチングはあまり考慮されていませんでした。そこで、最重要課題と考えていたスーパーバイザーの教育の一環として「モニタリング・フィードバック研修」を実施したのです。

モニタリングスキルの習得からモニタリングシートの改訂へ

教育にフォーカスしたため、研修は既存のモニタリングシートをベースとして実施したのは、全員が社員ということもあって、品質改善への意欲は高く、現場の状況に即した活発な意見交換も交えながら研修は進み、モニタリングの意義や実施方法などに関する理解も早かったからです。

ところが、「コミュニケーターに評価基準を理解させる」というプロセスに差しかかると、現在のシート上でうまく説明できない項目がいくつか発見されました。具体的には、評価基準(何をYesとし、何をNoとするのか)が明確でない項目があったり、一つの項目に複数のチェック内容が含まれていたりと、各種の問題点が露呈しました。

また、表現は異なるものの、同じ内容を複数の項目で記述していることも明らかになりました。しかし、こうした事態は、実は珍しいものではありません。とりわけ、カリブレーションを実施していない場合、個人の解釈に任されてしまい、こうした課題が表面化しないケースがほとんどです。

研修の結果、A社ではこうした項目の整理・修正に取り組むことを決定しました。また、カリブレーションを通してこれまで微妙にズレのあった評価基準を修正することで、評価の標準化への足がかりをつかんだのです。さらに、フィードバックのロールプレイングをする中で、現状のスクリプトが必ずしも適切でないことが明らかになったことも大きなポイントでした。

これは、スクリプトがコール内容(何を話すか)を想定し準備するものの、モニタリングは話し方(どう話すか)を模索するというチェック機能があり、両者の合わせ技が大きなポイントとなったのです。

モニタリング評価基準の策定にあたっては、「理想のコール」の明確化が不可欠であり、当然ながらコールの内容もそれに基づくべきです。つまり、「理想のコール」のイメージが明らかになったために、スクリプトの修正点が浮かび上がった格好です。これも同社の重要な課題とされました。

A社では、今後、モニタリング評価基準やスクリプトを整備しつつ、学習したモニタリング・フィードバックスキルを活かし、コミュニケーターのスキルアップを目指すという方向性が明確化しました。現在も社員SVの指導のもと、コールの品質改善へ日々邁進しています。

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