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8.成熟度に合わせた評価基準の修正法とは

B社は多くの保険契約者を抱えており、独自でコールセンターを運営していました。また、同センターでは、既契約者や新規顧客からの問い合わせ対応を行っていましたが、外資系企業の相次ぐ参入などにより業界の競争が激化する中、アップ&クロスセルを目的としたアウトバウンド施策の導入に踏み切りました。

具体的には、既存顧客にアプローチして現在の契約内容を確認し、相手の状況に合わせた商品の資料を送付したうえで契約を獲得する、という流れです。

こうした既契約者へのアプローチは、従来は営業担当者に任され、各自の裁量によりそれぞれのやり方で行われていましたが、コールセンターでの統一的なオペレーションにより効率的かつ効果的な施策の実施を目指しました。

アウトバウンド施策の導入に際しては、営業担当者の経験やノウハウを取り入れてコールの設計やツールを開発し、経営方針やセンターミッションなどをベースにモニタリング評価基準を設定しています。コール設計に関するすべてが同じベクトルに向けられており、万全の体制であったと言えます。

しかし、獲得型アウトバウンドは簡単な業務ではありません。とくに、保険セールスには顧客の抵抗感も根強く、既顧客が対象であるにもかかわらず用件も伝え終わらないうちに通話を断られるケースさえ少なくなかったのです。そのため、開始直後はコミュニケーターがとにかく通話の継続だけに集中する傾向が見られました。

この傾向が数週間経過しても改善されず、コミュニケーターがある程度会話を維持できるようになった後も、セールスの入り口である顧客ニーズのヒアリングにさえ入れないコールが続出する状態が続いていました。

このままでは、最終目標である成約獲得はおろか、個々の顧客の状況に合った商品の資料送付すらままならない状況です。

そこで、モニタリングシートを再度レビューしてニーズの聞き取りの重要性をコミュニケーターに再認識させるなどして意識の変革を図りました。同時に、意識するだけで実践につなげるのは難しいことから、ヒアリング能力を磨くためのカリキュラムを開発し重点的にトレーニングを実施して、教育面からもサポートしています。

共感力を育て"聞きっぱなし"を防止

こうした努力が実り、コミュニケーターのヒアリング能力は徐々に向上し、その後2週間もすると、既契約者の状況や保険に対する考え方やニーズの聞き取りが確実に実施されるようになりました。ところが、次にクローズアップされたのが、「ヒアリングはするものの、顧客の話を受け止められない」という課題も出現しました。

多くのコミュニケーターは、相手の現在の家族構成や健康状況、他社も含めた保険加入状況など重要情報を聞きだすことに成功していましたが、それに対して適切な対応ができず「聞きっぱなし」になっていたのです。

これでは、せっかく顧客が心を開いて自分の状況を話してくれていても、商品のお勧めにつながりません。当然ながら、最終的な契約獲得率が依然として留まったままでした。

そこで、相手の話を聞いて適切に対応するために、「傾聴の姿勢」の強化として、オウム返しの活用を励行しました。オウム返しは基本的な電話のスキルで、モニタリング項目に採用されるケースも多いのですが、自分たちが実際に行うコールの中でどう実践し、その結果どのような効果が得られるかをコミュニケーターに実感させることで、必要な場面でより効果的にスキルを活用させるようにしたのです。

さらに、モニタリングシートには、ヒアリング実施の有無を問う項目に具体的な質問内容を加え、「ヒアリングの結果、お客様から得られた回答をしっかりと受け止め、共感を示せたか」という評価項目を新設し、「聞きっぱなし」を防ぐ対策を強化しました。

こうしてモニタリングの評価基準をコントロールすると同時に、顧客に加入済み保険商品を伺う際には自社商品をアピールできる「切り返しトーク」を充実させ、ツール面でもコミュニケーターをバックアップすることで、課題の克服を図りました。

成果は徐々に現れ、資料送付数や契約獲得数は時間を追って改善されました。しかし、なおB社の想定結果に至らないのです。このため、再度課題発見のためのモニタリングを実施し、商品をお勧めするものの、顧客からの抵抗感を恐れてセールスの最終的なクロージングで二の足を踏んでいるコミュニケーターが多いことを発見しました。

今度はクロージングに注力した研修プログラムを開発・実施した。こうしてクロージングに関する課題克服への道筋をつけました

。B社のアウトバウンド施策は、スタート以来さまざまな課題を発見しては対策を立ててきましたが、一連の施策の結果セールスの第一歩である資料送付率が飛躍的に改善され、最終的な契約獲得につながっています。

状況に合わせた指導と評価指標の修正

B社のケースで注目すべきは、定期的にモニタリングを実施して現場の課題を迅速に把握するとともに、発見された課題に対応してモニタリングを指導材料として活用した点にあります。さらに、必要に応じて評価指標を修正し、柔軟に対応した点も大きなポイントでした。

定期的かつ適切なモニタリングはコールの品質向上に大きく貢献することができますが、実際にスケジュールに沿ってモニタリングを実施し、かつ結果を指導に直接活用しているケースは必ずしも多くないのです。

B社のように、モニタリングの位置づけをコミュニケーターにしっかりと理解させた上で、定期的なチェックを実施し、評価基準に即して課題解決を図る手法は理想的であり非常に有効的です。

とくに、実際の状況や課題に合わせてコールの中で具体的にどうすべきかを指導した点は、効果が高くコミュニケーターのスキル体得に大きく貢献しました。モニタリング結果を受け、課題解決をスコープとして開発されたトレーニングプログラムや、ツールの拡充なども、モニタリングと連動して成功の大きな要素となったのは言うまでもありません。

また、モニタリング評価指標とはそもそもセンターのミッションやコールの目的、現場の課題を考慮して設定するのが基本です。オペレーション現場は日々変化しており、当初想定した指標では不十分なケースや現場の状況に合致しなくなるケースも多々出てきます。

とくに、B社のように新しいコールを立ち上げる場合、ミッションやコール目的が適切に反映される一方で、現場で発生する問題について知見が少ないのが実情です。事前には予測できなかった課題が、次々と発生するのは当然と言えます。

モニタリングは理想的なコールの実現と同時に、課題の解決という重要な役割もあるため、実際にコールがスタートしてからは重要課題にフォーカスして指導し必要があればコールの実情に即した評価基準の追加・修正も必要でしょう。

さらに、コミュニケーターの成長や現場の状況の変化に対応した評価項目のブラッシュアップも欠かせません。B社のケースで見られるように、状況に応じて迅速な対応を取ることこそがコールのレベルアップ、ひいては理想のコール実現へとつながるはずです。

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